メニュー 閉じる

追分の 「油や」

 

毎年、5月の雨の日には行くところがある。
軽井沢・追分の 「油や」 だ。

書くにあたって調べたら、正式名称は 「信濃追分文化磁場油や」 というらしく、中山道軽井沢追分宿の元油屋旅館の建物を活用して、2012年から本とアートを中心として、レコード・ギャラリー・古美術・工芸品・喫茶店などの店が入っており、ギャラリーでのアート関連のワークショップやコンサートなどのイベント、また手作りクラフト作家の作品を展示販売する市場など様々な文化活動を行っているスポットとのこと。

初めて 「油や」 に入ったときは、ちょっとした感動があった。とくに中古レコードコーナーを見つけたときは、軽く小躍りした。

昔、下北沢にアパートメントストアという古いアパートを改装して、古着屋・US古雑貨・ロックファッション・DC古着・アクセサリー店など様々な店舗が入ったところがあって、自分もそのなかの一店舗に、初期の頃、数年働いたことがあったが、廊下を歩くとギシギシ音が鳴るところとか、アパートメントストアを思い出した。
当時のアパートメントストアは、若い店主が多く、古いけどギラギラしていて勢いがあった。

油やはその逆で、シニア世代の趣味の店舗によくある時が止まっているような雰囲気があり、そういった感じだから、レコードも新入荷がほとんどない。
(田舎に引っ込むときに、手放したら再び手に入れるのが難しいレコード以外、つまりいつでも買えるようなわかりやすいレコードは売却処分してしまった。ところが、地元の音楽イベントでDJすることになり、イベントの内容に応じたレコードを買戻しするような具合になった。葱と温泉以外楽しみがなかったが、レコード探しが復活したら、楽しくなった。コロナ明け、中古レコードの値が急騰、年2回あったイベントも中止に追い込まれた。もうレコードを探す必要はないのだけれど、昔の熱がよみがえってしまって困っている)

結局、初めて見つけたときの、掘り出し物を探すワクワク感の時がクライマックスだった。
せっかくだから、たいして欲しくもないサントラを2枚買った。
その初めてのときは、まだ 「味」 がすこし残ってるガムのようだったが、新入荷がほとんどない出がらしのような感じだから、年々 「味」 がなくなり、ことしは味のないガムというか輪ゴムでも噛んでいるようだった。(クラシックや古典ジャズならまだ味があるかも知れない)

軽井沢という場所柄、冬期はオフシーズン、4月末から11月までの営業、なので、毎年わずかな新入荷の期待を込めて、ネギ植えが休みの雨の5月に懲りずに行っている。
 

Posted in 音楽/言葉

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です