渋谷でアパレルのころは、当たり前だけど、ファッション・グラフィックなどデザインが生活の一部になっていた。
デザインレスの田舎に戻ってからは、山容 (山の姿) にデザインを見出し (下仁田周辺の西上州とよばれる山域は、変わった形の岩山が数多くある)、時間があれば山に入ってお気に入りの山などをいろいろな角度から写真を撮り、都会にはない山容コレクションで、気持ちの隙間を埋めていた。
が、3年くらいで撮り尽くすと、変わらないデザインに飽きてきて、地方の美術館めぐりなど次第に建築デザインに惹かれるようになり、上京の際は、あたらしい建築物や都市デザインである新スポットなどをチェックするようになった。
コロナが落ち着いて、去年は3度ほど上京して、宮下パークだの歌舞伎町タワー、開発中の渋谷駅南口周辺などを見てまわった。
※歌舞伎町タワーと一階ホテルエントランスにある、尾形光琳の 『燕子花図屏風』 を模した作品。歌舞伎町タワーよりもこっちが観たかった。
――で、今回はこの春オープンの、麻布台ヒルズへ。
ゆるやかに、そして確実に衰退が進んでいるところで日々生活していて、自分が実際、見て肌で感じうる狭い範囲の世界がそのまま日本のような錯覚に頭がなっていたから、麻布台ヒルズの、どれをとってもどこを見ても、めまいがするほど高品質でエレガント、都市デザインの見事さに圧倒され、日本の中心はまだまだ発展中だという事実に、その格差にショックを受けた。
たとえば、地方の裕福ではない自治体でよくあるような、町づくりに地元の学生のアイディアを採用するようなところで、年相応・身の丈相応、未来がしぼんでいくのただを受け入れるのが正解なのかな、とこのところ思っていたが、そこからはみ出し飛び出して、最先端のところで未来に生きている気分を味わったら、気持ちもパッと膨らんだ。
自分もまだまだ発展しようと思った。
【過去の関連記事】