きのうは、一日中雨の、肌寒い日だったので、なにか温かいものが食べたくなって、ひさしぶりに軽井沢・川上庵 (せきれい橋の方) へ行き、いつもの鴨煮込み蕎麦を。
川上庵と言えば、田舎にひっこむ前、農業という食べ物にかかわりあう職業になるにあたって、飲食店での仕事も経験しておいた方がなにかの役に立つだろうと、東京にある青山の店舗で数日間バイトした。
アルバイト誌をめくってもめくっても、若者がうるさそうな居酒屋チェーン店ばかりだった中、”ジャズが流れる落ちついた店内”、”アルコール類も扱うお洒落な蕎麦屋ダイニング”、”軽井沢 (地元下仁田の隣り) 本店の青山店 (当時、渋谷富ヶ谷に住んでいたので自転車で通える範囲)” というのもあって、申し込んだ。
東京ライフの最後に、皿洗いがしてみたいという気持ちがあった。
というのも、自分は若い頃から仕事に関して、皿洗いから始めても、店長くらいにはすぐなれる、という自信が常にあった。
だから、東京最後の記念に、実際、皿洗いを経験し、それから (イチから) 農業を始めてみたかった。
なので、厨房での仕事をのぞんだが、食器はほとんどが自動洗い機の仕事だった。
しだいにフロアの仕事にまわされるようになり、年下の上司とちょっとモメて、結局、4日間ほどで辞めてしまった。
田舎にもどってから、下仁田の隣りの、すこし東京の香りのする軽井沢に息抜きに行くようになって、なんとなく懐かしいような気分に誘われて、カミさんと軽井沢の店舗 (せきれい橋の方) に入った。
(川上庵の蕎麦は、バイトしていたとき、まかないでいただいていたが、味醂の効いた甘めのツユが好みの自分にはちょっとしょっぱ過ぎて、好みの蕎麦ではなかった)。
そのときも、たぶん、肌寒い日だったと思う、鴨煮込み蕎麦を頼んだ。
これが、なかなかいけた。
以降、年に1~2回食べに行っていたが、だんだん遠のいていった (仕事がら、そんなに空き時間がないのと、行ったことのない新鮮な所に行きたい等の理由で) 。
で、きのう、10年ぶりくらい食べたが、鴨が大きくなっていた (子ガモが育った、って意味ではなく、鴨肉が、ってことです、当たり前ですが) 。 ツユも前の方がマイルドだったような気もするが、気のせいかもしれない。
せっかくなので、だし巻き玉子とレンコンと海老のはさみ揚げも。
たった数日の、青山・川上庵でのアルバイトだったが、午前3時半から4時くらいに店内の全清掃が終り、始発の時間まで店内に残っていた他のバイト仲間を背に、ひとり外に出たときの、あの感じ (明け方の空気、解放感、朝日のやわらかい日射し等) がいまだ鮮明に思いだされる。