話題の 『平家物語』 を観た。
最初の数話は魅せられたが、ぜんぶで11話しかないので、途中からは (平重盛が没した頃から) あらすじをきれいな色彩映像とすばらしい音楽でなぞっている感じで、もうちょっと重盛、徳子の人物像を深堀りしてほしかったなーという物足らなさが残っている。
監督が若い女性ということで、登場人物の描写が柔らかくやさしく、よくもわるくも盛者必衰・軍記物語に付きものの、人間の血なまぐさい部分はあっさりしている。(進撃の巨人のスケール、視点の切り替えによる奥深さに比べると、余計に・・)
そもそも、観ようと思ったきっかけのひとつには、読むのが面倒な日本の古典をアニメでラクに観れ、諸行の無常を感じられたら、という理由があった。
というのも、田舎にもどってから、就寝前にちょろっと読んだ本 (宇宙物理学からの発想~宇宙の不思議/佐治晴夫) の中に、方丈記 (鴨長明) の、授業で暗記させられた序文、~ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとゞまるためしなし。~ の解説が出てきて、目からウロコの感動をしたからだ。
その部分を書き出すと、
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この 『方丈記』 の書き出しのすさまじさは、まず ”絶えることのない流れ” という不変性と ”もとの水ではない” という変化を対峙させ、同時進行でとらえているところにあります。しかも、”変わらないこと” と ”変わること” という相反する対極概念、あるいは現象を同一のレヴェルにおいて、ひとつの ”できごと” としてとらえているのですね。
さらに読みすすめると、”よどみに浮ぶうたかた”、つまり ”泡” も ”生まれるということ” と、”消えるということ” が同時に起こっていることで、(以下省略)
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歳を重ねて、いろいろな経験を積んで、解説読んで、初めて 「方丈記」 の冒頭の凄さを知ったので、同じく暗記させられた 「平家物語」 の序文 ~祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす~ にも、歳を重ねて味わえる何かを期待してしまった。
最終話のタイトルは 『諸行無常』 だったけれど、こころが波立つようなこともなく、やっぱりあっさり終わった。
あっさり見終わったけれど、余韻が引きつづきというか引きずっているのが、挿入歌だ。
当初は、エンド曲、agraph · ANI の、unified perspective というエレクトロニカな曲にやられたが、次第にオープニング曲の羊文学 「光るとき」 がヘビーローテーションになった。
羊文学、名前だけは変わっているので知っていたが、聞いたことはなかった。
聴きこむほどに、ギター、ボーカル、イントロ、間奏、アウトロがすばらしく、この曲を知っただけでも、『平家物語』 を観た甲斐があったと言えるほどに。
「平家物語」 PV
羊文学 「光るとき」
The Railway Children – Brighter
ギターの音色がキラキラしているところがリンクするのか、「光るとき」を聴くと脳内で流れる。
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