実をいえば、今回の新潟での 「水と土の芸術祭2018」 に行く前の晩、
かるく風邪をひいてしまい、早めに寝たがあまり眠れず、寝不足と風邪気味のまま出発した。
日中はなんとかもったが、夕方ホテルでちょっと悪寒と喉が怪しくなって横になってすこし寝た。
頭の痛みがうすれて幾分よくなったので、食事と薬局を探すために萬代橋 (ばんだいばし) をわたって万代方面へ。
小雨の降る萬代橋を渡っているとき、この風邪、旅行中はもつだろうという確信めいたものがあった。
というのも忘れかけていたが、そのむかし渋谷でアパレルの頃、新潟へ営業に来た(行った) ことがあった。
そのときも風邪気味で、新潟駅を降りたら雨がぽつぽつ降ってきた。
しまった、傘忘れた!と思ったけど足はすでに動き出していてそのまま古町方面に向かった。
(当時はインターネットのイの字もない時代でとにかく歩いて情報を得るしかなかった。
ちかくに薬局もコンビニも今とちがって溢れていなかった時代だった)
ずいぶん歩いてやっと萬代橋の手前まで来て、思わず立ち止まった。
萬代橋は長かった。
ポツポツ雨だったが徐々に濡れて身体が冷えてきた。
風邪が悪化、熱でも出たらどうしよう・・・、旅先というのは不安をいっそう大きくさせる。
万代橋を渡ったら引き返せない、引き返すのなら今だ、そう思わずにはいられないほど長く寒々しい萬代橋が目の前。
時間にしたら30秒ほどだったろうが、しばらく立ちすくんでいた。
仕事で来て、着いてすぐ帰るわけにはいかない——。
まじめな仕事人間というより仕事を通して自分を認めてもらいたい、自分を表現したいというタイプの人間だったので、気持ちが足を動かし、前に進んだ。
ゆっくりだがタップリの水量の信濃川を渡り終えるころには、雨も弱くなって、身体の寒気も取れ熱くなっていた。
結局、心配だった風邪は悪化することなく、夕方無事東京にもどった。
20年くらい前のそんなことを、ひさしぶりにしみじみ思いだした夜だった。
おれにとって、新潟とは風邪なのか・・・、とちょっと思った。
※画像は、ホテルの部屋からの萬代橋。
.