夏になると、ひょんなことからフト思いだし聴いてしまう曲があって、
その曲のことを毎年夏になると、ブログに書いてみたいなーと思うのだけれど、
夏はネギの植え替え作業で気力体力の消耗が激しく、いつも書けずに夏が終わった。
ことしもすでに8月が終わって9月になってしまったが、
蝉はまだ鳴いているし、サクッと書いてみるとする。
◇
遠い昔の、まだ青春してた頃、
学生だったわたしは、お盆の帰省で高崎線に乗っていた。
わたしはドア横に寄りかかっていたが、
目のまえにわたしと同じように立っていた女の子に心奪われた。
そのたたずまいに一目惚れしてしまった。
どうにかして声をかけようとしたけれど、どうにも声をかけられなかった。
そうこうしているうちに彼女は本庄駅で降りてしまった。
ドアが閉まってから、降りなかった後悔が強くなり、自分の勇気の無さに泣きたくなった。
盆休みをタメ息ばかりついて過ごすのは健康上よろしくないから、
ダメを承知で会って話してスッキリするべく、後日、
わたしは車で彼女が降りた本庄駅に、彼女が降りた時間帯に行った。
2時間くらい粘ったが彼女らしき人は降りてこなかった。
(たまたま乗っていただけじゃないの、って言われそうだが、
たまたまの乗客ではない雰囲気が彼女にはあったような気がするし、
ひょっとしたら改札で定期を出す姿を見たのかもしれない)
その次の日も、本庄駅に車を走らせた。
今度は時間帯をすこし広げ、早めに駅前で待機していたが、
見つけることはできなかった。
結局、3日か4日、本庄駅に通ったが、
心奪われた彼女はあの日のあの時だけの、まぼろしとなった。
期待と傷心の車中でずっと聴いていたのが、
コクトーツインズの 「ヘッドオーバー・ヒールズ」 というアルバムで、
とりわけ、「シュガー・ヒカップ」 という曲が沁みた。
というわけで、夏になると、
ひょんなことからフト思いだし聴いてしまう曲。
● Cocteau Twins – Sugar Hiccup
伸びやかで透明感のあるエリザベス嬢のVO、繊細でひんやりとしたサウンドが、夏なんです。
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