家のちかくに、「不通」 と書いて 「通らず」 と読む、
普通に読んだら まず読めない橋がある。
その不通橋 (とおらずばし)、2年ほど前の橋のたもと付近の岩盤崩落で、
長らく閉鎖され補強工事が続いていたが、一昨日、トラクターでちかくを通ったら、
工事関連のものがきれいに片づいていて、通れるようになっていた。
いまでこそ普通の橋だが、子供のころの、不通橋 (とおらずばし) は、
その名の通り、そりゃあもうおっかない橋だった。
不通渓谷 (とおらずけいこく) にかかるワイヤーの吊り橋で、
車も通る橋だったから、橋板はあっちこっち傷んでいて、
橋板と橋板のすき間がところどころ大きく開いていたり、腐って砕けている箇所があったり、
そしてそういった隙間からはるか下に川が見え、まともに見たら足がすくんでしまうので、
すき間を見ずに、橋板を注視しながら、やや早歩きで歩き、
残り4分の1くらいになったら、一気に駆け足で渡るのが常だった。
そんなただ渡るだけでも怖かったのに、
車がたまに通るのだ。
車が渡るときは、橋板がバタバタ音を立てて上下し、
橋全体が揺れる。
だから、いつも橋を渡るときは、車が来ないように心で祈っていたが、
そう毎回毎回願いが通ずることはなく、途中で来たときは、
へっぴり腰で慌てて、端のワイヤーにつかまり、
ビビりながら、車が通り過ぎ、揺れがちいさくなるまで、待つ。
もう小便チビリそうなくらい怖ろしかった。
わたしにとっては、トラウマな橋だったが、
(子供の頃みたコワイ夢のほとんどに、不通(とおらず)のシーンが入っていたくらい)
現在では、揺れることもなく、下が見えることもない普通の橋になった。
きのうは、不通 (とおらず) が通ったので、
ひさしぶりに車で通ってみた。
年々、通行人が減っている感じがするが、
上信電鉄の無人駅 「千平駅」 と 道の駅 「しもにた」 をつなぐ橋であり、
店ひとつないが、いちおう ”駅前通り” をつなぐ橋が通ったのだ。
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