「屋根裏のアニキ」 というと、なにやら変質者のような感じがしないでもないが、30年来の友人が、かつてそう呼ばれていたらしい。
それはなにも、わたしの古い友人が、夜な夜な屋根裏で這いつくばって、「ウへウへ」 悦に入っていたわけではもちろんない。
下北沢にあった老舗ライブハウス 「屋根裏」 の店長を彼は長らくしていて、それで、わたしと違って人柄の良い彼は、ずいぶん若いバンド連中に慕われたそうな。そういうことだ。
そんな彼が2、3年くらい前、昔の音楽仲間の新年会で、いつもの穏やかな表情を、すこしばかり硬くさせて、今いるところ (屋根裏をやめた後、彼は新らしくオープンしたライブハウスへ移った) は、自分がやりたいライブハウスとはちがう、と自分の理想とする店のことを語り、めずらしくシリアスに、今年中に、自分の店を出すことを決意した、もし出せなかったら、おれの人生はそれだけの人生、自分の店はただの夢でしかなかったとして、あきらめる、と。
わたしは行動する人、挑戦する人を断固支持する人間だし、人生の折り返し地点を過ぎてからの決断となれば、なおさら応援したくなる性質だから、おおいにエールを送った。
その後、年一回、顔を合わす新年会で、その話題が出ることはなかったから、そういうことなのだな、と理解し、その件に触れることなく散会となった。
昨今、音楽を取巻くビジネスは、夢が膨らむ余地がないほどキビシイように映るから、ちょうどよかったのかな・・などと勝手に思って、もう半分くらい忘れかけた矢先、共通の友人というか昔の音楽仲間のFB記事で、彼が店をオープンさせたことを知った。
で、先日、皆で祝うため、彼の店に集まった。
はじめ、仲間内でオープン祝いパーティをわいわいやろう!ってなったとき、春のネギ植えの終盤戦だし、ネギが植え終われば、ただちにコンニャク植えだから、時期的に、のんきに上京できる状況ではなく、一度やんわり断った。
しかし、いろいろなことを思いだし、ここで行かなきゃいつ行くんだ、って気持ちになって、祝福しに駆けつけた。
【ろくでもない夜】
今年3月に閉店した 「屋根裏」 あとに、旧スタッフら数人でライブハウス&酒場 「ろくでもない夜」 として開店。
命名&題字は、吉本キングコング西野氏。
下北に行った際には、気軽にチョイ呑みに寄ってください。ライヴやりたい方、イベント・パーティーしたい方、飲み会したい方もぜひ!
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