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無理と油断

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 在京のころ、一時、坐禅にはまっていた。
 
 その器でないにもかかわらず、ちいさいながらも、会社の経営なんぞやっていたから、
 他人 (従業員) の人生も保障しなければならないプレッシャーというか、
 従業員を不安な気持ちにさせないくらい、しっかり&どっしりした
 肝っ玉の揺るがない社長にならねば、と日々、歴史本・経営者本などに
 答えを求めて読み漁っていた。
 
 で、とりわけ、メンタルの強い人物と思う、勝海舟と山岡鉄舟の影響から、
 坐禅を始めたのだった。
 
 『参禅入門』 という本を読み、毎日かかさず、線香1本分 (約2、30分)、坐った。
 
 坐ったら、線香の火が尽きるまでは動くまいと決めた。
 
 はじめこそ、線香1本分が長くて長くて苦痛だったが、
 次第に30分ガマンした後の心地よさがクセになって、
 眠れないとき、不安などで心が胸の位置くらいまであがってしまったとき、
 頭のなかを鎮めたいときなど、なにかあれば、座った。
 
 しまいには、真っ暗闇と沈黙を求めて、耳栓して、
 空の風呂のなかに入って蓋をして、座ったりもした。
 
 ある冬の寒い夜、2時間ほど眠って目が覚めてしまい、その後眠れなくなり、
 よし坐禅だなとガバッと起きて、薄着 (Tシャツと短パン) のまま坐ってしまい、
 途中寒くてたまらなかったが、線香の火が消えるまで頑張って、
 風邪をひいた――。
 
 風邪をひいたら、とても坐禅どころではなくなり、
 その後、体調が戻るも、半年ほど続いた日課が途切れてしまったら、
 気持ちも離れてしまって、その後はポツリポツリ坐る程度になり、
 今ではほとんど坐禅することはなくなった・・・・。
 
           ◇
 
 先日就寝前、トある本を読んでいて、思わずブックマークした。
 その箇所を書き出してみる。
 
  ~
  ひとくゆりの香と一鉢の水を塵ひとつない机に置き、座蒲団を下に布く。
  夜明けごろに身をおごそかに保って座につき、足を組み手をそろえ、
  静かに呼吸して姿勢を正す。 (中略)
  突然煩悩が起これば、すぐさま吹き消してまた心を保持する。
  また煩悩が起きれば、すぐさま吹き消す。これをいくども繰り返し、
  油断せず、無理せず、効果を期待してはならない。
                                  「劉念台文集」
  ~
 
 油断せず、無理せず――、
 また坐禅始めようかな、ふと思った。
 
 
 
 
.
 
 
Posted in キオクのキロク

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