沈黙と無音～沈黙をたべる　

　　心がうらぶれたときは　音楽を聞くな。
　　空気と水と石ころぐらいしかない所へ
　　そっと沈黙を食べに行け！　遠くから
　　生きるための言葉が　谺 (こだま) してくるから

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～耳を通じて／清岡卓行

　わたしが山に入るのは、沈黙を食べに行く、
　というより、沈黙に喰われに行くのだ。

　ちかごろ、山ガールの出現等、山登りがジワッと人気だが、
　西上州と呼ばれる下仁田周辺の山はとても静かだ。

　呑みこまれそうなくらい怖い沈黙の森の山道を登っていると、
　頭のなかにある雑念等の余分な考えが、沈黙に食われ、
　スッと消えてゆく。

　　　　　　　　　　　　　◇

　先日、空の青さもさることながら、風がないのが気にいって、
　ひさしぶりに近所の山に登ろうと思った。

　場所は、以前、このブログで記事↓にしたスポット。

　　　2009/5/1 立たない、じゃあなく、立てない理由
　　　http://blogs.yahoo.co.jp/yesornouca/51845650.html

　リベンジちゃあリベンジだけど、
　やっぱり、たまに山に入って頭のなかを軽くして、“生” を実感したかった。

　が、虫の知らせか、とっとと行かず、
　なんとなく愚図愚図してて、ダラダラ仕事をしていたら、
　グラッときて、グラグラ揺れた。

　３月１１日の地震の日だった――。

沈黙と無音 ～沈黙をたべる