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キャッチ=22

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   スノードンの呼吸はさっきよりもかすかになり、しだいに速まっており、
   その顔はいっそう蒼ざめていた。
   ヨッサリアンはいったいどこからどうスノードンを助けてやったらいいのか迷った。

   「さむいよ」とスノードンが哀れっぽい泣き声で言った。「さむいよ」
   「よしよし」と、ヨッサリアンは聞きとれないくらい低い声で機械的につぶやいた。「よしよし」

    ヨッサリアンも寒く、どうしても震えが止まらなかった。
   彼はスノードンが醜くよごれきった床の上一面にまき散らしたすさまじい秘密を
   絶望的な気持ちで見つめながら、全身に鳥肌が立つのを覚えた。
   彼の内臓のメッセージを読みとるのはたやすいことだった。
   人間は物質だ――それがスノードンの秘密だった。
   窓から放り出してみろ、人間は落ちる。
   火をつけてみろ、人間は焼ける。
   土に埋めてみろ、人間は腐る――他のあらゆる台所屑と同じように。
   精神が消えてなくなってしまえば、人間は台所屑だ。
   それがスノードンの秘密であった。
   精神の充実のみがすべてであった。

   「さむいよ」とスノードンが言った。「さむいよ」
   「よしよし」とヨッサリアンは言った。「よしよし」
   彼はスノードンのパラシュートの開き綱を引っぱり、彼のからだに白いナイロンのシーツをかけてやった。

   「さむいよ」
   「よしよし」

               ◇

  この 「キャッチ=22」 という、戦争の狂気をブラックな視点でユーモラスに描いた小説は、
  その登場人物の多さ (しかも、あまりなじみのない珍妙な名前とキテレツなキャラクターのオンパレード)
  や、話の筋がどんどん飛ぶ展開 (時間軸のズレ) のため、足かけ3年 (読みはじめちゃ放棄して、
  またチャレンジしちゃあ挫折して、を2、3度くりかえし) かかって、きのうやっと読み終えました。

  芸術はバクハツだぁーッ、ってコトバがありましたが、
  わたしにとって、この反戦小説を読むこと (読書) は戦いだぁーッ、でした。
  まさに長期戦でしたが、(決して狙ったわけではなく) きのうの夜、やっと読み終わったのでした。
 
  ――で、きょうは、終戦記念日です。

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Posted in キオクのキロク

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