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ちょっとスースーしたいだけなので、100円くらいでちょうどいいのです。
けれど、立ち寄ったコンビニには、約100円の “ミンティア” は置いてなく、
しかたなく、約200円の “フリスク” をレジにもっていったのです。
レジ内には、ユトリ世代くらいの わかい女店員ふたりが、
放課後の教室にいるかのように話こんでました。
わたしは品物をおき、500円玉を差しだしました。
ふたりのうちの 左側にいた地味な感じの店員のほうが、
わたしに顔を向けることもなく、死人のような暗さでレジ操作をし、
やる気のない機械のように、レシートを ボソッと差しだしました。
わたしは、ソレを切符でもとるように摘まみとり、
そのまま釣銭を受けるために 手のひらを窪ませました。
その、わたしの手のひらのなかに、
わたしの釣銭がジャラッと 汚物のように落っこちてきたのです――。
というか、死体のように覇気のないその店員は、
さも、ばっちいものには触れたくない、といった体で
MY釣銭を わたしの手のひらのなかに、ちょこんと投げいれたのです。
ムカァーッ。
わたしはムカッ腹が立ちました。
たとえば、わたしの手のひらが バケツとか便座だったならば、
汚物のように落とされたって、文句をたれません。
が、あたりまえですが、血の通ったヒトの手なのです。
今まで、外国のヒトなど、さまざまなヒトと握手をしてきた手なのです。
この手で、拍手もすれば、社会的弱者に手をさしのべることだって できるのです。
わたしの怒りは めらめら燃え上がっていましたが、
じゃあ具体的に この怒りをどうしようか、と頭をめぐらすと、
なんだか面倒にもなり、こんなコムスメに腹立てたってぇ・・・、という
考えもあらわれ、とりあえず怒りを呑みこんで 腹に収めて店を出たのでした。
後半へつづく。
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