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まだ渋谷にいた ５、６年前の今時期、わたしは電車に乗っていました。
わたしの目のまえの席には、５０歳代くらいの、いかにもウエストポーチの
似合いそうな商店主 って感じのおっさんが座っていました。
おっさんは 花粉症らしくマスクをしていました。
マスクは おっさんの顔の大きさからすると、やや小ブリでした。
おっさんは 腕を組み、ガニ股風に脚を広げ、目をつむってガムを噛んでいました。
おっさんが ガムを ３噛みくらいすると、マスクはあごに引っぱられて 下にズレ、
おっさんの 腐りかけの 大粒イチゴのような鼻が 顔を出します。
おっさんは 右の指でマスクをつまんで 鼻の頭まで引っぱり上げ、ふたたび、
腕を組み、ガニ股風に脚を広げたまま、目をつむって うなるようにガムを噛みます。
おっさんが ガムを ３噛みくらいすると、マスクはやっぱり、あごに引っぱられて 下にズレ、
おっさんの腐りかけ大粒イチゴのような鼻が またもや顔を出します。
おっさんは ちょっといまいましそうに、右の指でマスクをつまんで 鼻まで引っぱり上げ、
腕を組み、ガニ股風に脚を広げたまま、目をつむって うなるようにガムを噛みます。
おっさんが ガムを ３噛みくらいすると、マスクはあごに引っぱられて 下にズレ、
おっさんの腐りかけ大粒イチゴのような鼻が 顔を出します。
おっさんは 右の指でマスクをつまんで 鼻まで引っぱり上げ、
腕を組み、ガニ股風に脚を広げたまま、目をつむって うなるようにガムを噛みます。
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車内は 春の日差しがいっぱいに入りこんで、思わず眠たくなるほどでしたが、
おっさん一人、春のうららか気分をチャラにするように、せわしなく動いていました。
※画像は、嫌われものの杉林。
ことしはいつもより カフン、ひどいような気がします。
そうです、わたしも マスクマンです。
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