「夏になったら、鳴きながら、必ず帰ってくる、あの燕(つばくろ)さえも――」
と、フーテンの寅さんは、かつて 劇中で云いました。
ウチにも、毎年、やってくるようで、
春先に、父が こんにゃく芋の貯蔵庫の 一角に、巣棚をくっつけました。(写真・左)
自信過剰な 父のことなので、おそらく、
ツバメにとって 出はいりしやすく、なおかつ、ヒトの出はいりの すくない、
絶対的なポジションを選んだのに ちがいありません。
しかし、ツバメ(写真・中)は、
父が用意した巣棚ではなく、蛍光灯の端っこに 巣をつくり始めました。(写真・右)
よりによって、不安定で、あつくて、まぶしくて、ときどき チカチカする場所です。
さぞかし、父は、苦い顔して、この巣を眺めたことでしょう。
わたしは、クールを装いつつも、心のなかで、
パンクなツバメ野郎に、「ブラァボー!」と
スタンディング・オベイションしてあげました。