漫画本は、高校二年のとき、
フト、オレは いつまで 読むのだろうか、
このまま ずぅーと 読みつづけていくのか――、
という疑問が、自分のなかに生まれて、バサッと やめてしまいました。
ところが、近年、私の友人で、漫画で世に出てやろう、
という人物の影響で、漫画をいくつか読みました。
『プラネテス』(全4巻)は、そのなかのひとつです。
まず その表紙絵が、あまりにストライクでした。
で、読みはじめて、宇宙のゴミ拾い屋 という設定も、新鮮でした。
そして、主人公ハチマキが、空間喪失症になって、徐々に
内的宇宙に入りこんでいくほどに、話に引きこまれました。
――大宇宙に挑むにあたって、自分の依って立つべき場所とは?
自分の心は、どこにあるのか?
中国の思想家、陸象山の言葉に、
「宇宙即ちこれ吾が心、吾が心、即ちこれ宇宙」
とありますが、この『プラネテス』にも、それを感じます。
人間一個はちっぽけだけど、心は宇宙に通じる、ということですかね。
最近、作業の進めかたで、父と しょっちゅう衝突するので、
気持がクサリ気味でした。
それで、この『プラネテス』を読み返しました。
内に沈んだ気持が、上向きになりました。
いい歳こいて漫画かよッ、という自分ツッコミもありますが、
これは、すばらしい作品だと思います。
その他、
車にひかれた猫と眼が合うシーンとか、
「独りで生きて独りで死ぬんだ」というセリフとか、グサッときました。