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泳ぐひと

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 東京で、やろうやろうと思いつつ、結局はやらずじまいだったことが、イナカに引っこんでから、実現しているのがある。

 たとえば、このブログがそうだし、いま製作中のホームペイジもそうだ。
(会社のHPがあったが、アレは大枚はたいてデザイン会社に作ってもらった)

 渋谷にいたころ、マンションの郵便受けには、表参道や神泉、宇田川町にあるフィットネス・クラブの入会案内のDMチラシが争うように詰めこまれていた。

 そこに印刷されたプールの写真が眼に入るたびに、ああ、泳ぎてぇな、と思った。

 が、あとからあとから詰めこまれる、てかてかでハデハデしい色使いのチラシと一緒に、ルーティンワークのように郵便受けの下にあるゴミ箱に押しこんでいた。

 ときおり、自転車でそのフィットネスの近くを通ったときとか、仕事で煮詰まって頭がぱんぱんのときなど、ふたたび、プール熱にかられた。

 このままプールにすっ飛んでいってジャボーン! とやったら、さぞかし気分いいだろうなぁ、と。
 (まさに、映画『イン・ザ・プール』の田辺誠一演じるスイミング中毒の男のように)

 だが、会員なるための手続きのことを考えると、なんだかおっくうになるし、中にはガウン羽織ったスカした野郎がいるんだろうな、などと想像を膨らますと、なにかプール熱もさめてしまうのだった。

 今朝は、雨がしょぼしょぼ降っていたから、予定していたトーモロコシの種まきは中止。

 で、午後、プールにひと泳ぎしにいった。

 健康ランドのようなところにくっついているプールなので、子供はちゃぷちゃぷしてるわ、水しぶき上げるわ、老人たちはよろめくように徘徊してるわで、チラシの中のプールとはずいぶんちがう。

 障害物のなかをひたすら泳いでいると、’68米映画『泳ぐひと』のB・ランカスターにでもなったような気分になった。

 なりたかァないけど。

ついでなので、
『イン・ザ・プール』:監督の三木聡と松尾スズキが気になってチェックしたけど、いまひとつで星ひとつ。三木聡は原作つきより、オリジナルのほうが好み。『亀は意外と速く泳ぐ』はゆるいテンポがはまって3回観た。
『泳ぐひと』:個人的には病んでるB・ランカスターが笑えるが、映画自体は不条理な味つけのシリアス・ドラマ。

Posted in キオクのキロク

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